今はどこに…

風邪のついでに…
そういえば、入学当時には、医学部や歯学部の有力な人材とお友達になって、私の主治医になってもらおうという策を考えていたなぁ。
知り合いすらできないんですけど…
でもでも、塾には歯学部の1学年私の上の美人(以下Yさん)がいました。
初めてYさんとご一緒したときは、結構クールというかエリートというか、私のようなグニャグニャな人間を寄せ付けないオーラがありました。
私が、大学2年から3年に上がるという春の講習会中。午前中の講師が私とYさんだけだった日が3日ありました。
マジ恐えぇぇぇ(←勝手にそう思っている)
1日目。出勤時の挨拶だけで終了。
2日目。今でも忘れない日。
昼休み前の2コマ目の時間。私は、中学生に英語を教えていました。
なぜか(←本当は私のせい)、運動会の話。
「運動会には、バナナを食べるよな?」とか、「オーバータイムは、毎朝バナナを食べるぞ」とか、「出場の10分ぐらい前に蜂蜜を食べると力が出るぞ」といったことを力説していました。
お昼休み。
Y:「あのう…」
声をかけられました。きっと怒られる。どうせ、最初からキモイと思ってたんだろうなどという卑屈なことが頭の中を駆け巡りました。
Y:「さっきのバナナの話、すごく面白かったですね。人がいないから聞こえちゃって。授業中なのに、一人で笑いそうになりました。」
私:「へ??」
Y:「あんなに生徒の心つかんでうらやましい…どうしたらあんなふうにできますか?」
私:「あぁ…」
事態が飲み込めません!!
しかーし、ここからがオーバータイムの勘違いの本領発揮。私はすかさず、「少し、生徒の話を聞いてあげるといいですよ」と、私よりベテランの彼女に言いました。今までは、レギュラーの授業でご一緒する機会はなかったのですが、講習会などでの彼女の印象から、授業の進行にガツガツな感じがしたので。偉そうですが、自然と出た言葉のなので、真摯にアドバイスを受けてくれるなら、私としてはもっとも的確なことを言ったつもりでした。
年度が替わり、もっとも重要度の増した講師となった私。出勤日の変化もあり、Yさんと同じ日が新たに加わりました。
何のことはない、せいぜい挨拶くらいしかしない関係でした(←実は、私が非常に無口)。
6月くらいかな、私とよく話す非常に珍しい講師の方とYさんが大学の話しをしていました。私は指をくわえてみていたら、混ぜてくれました。そこで、Yさんが何者なのかを知ったわけです。
そのときがきっかけでしょうか、よく笑う人だなと思うようになりました。それ以後、なんとなく、いや間違いなく、Yさんが授業中でも朗らかで優しさにあふれているように見えるようになったのです。
ある機会に、私より塾歴の長い生徒に聞いてみました。すると、「前より明るくなったよ。昔は結構恐かったけど。今は話しやすいし。」ということでした。
おそらく、Yさんは自分のよい面を存分に発揮できる人になったのです。作り笑顔なんて、長く一緒にいればばれてしまうもの。そうではない、本物姿を持つようになったのです。
私も、そんな姿を見て、勝手に心が和みました(←キモすぎ)。私の影響だったのかなんて、知る由もないのですが。
私が、講習会でバナナの話をした生徒。この子は、Yさんの担当の生徒でした。その生徒の話によると、毎回私が変な話をするたび、一緒になって笑っているそうです。
その曜日のベテランが集まった写真が携帯電話にあります。私の宝物。
今年の3月には、勤めていた校舎の廃止、他校舎への異動が行われました。
これからの私の就職活動…異動の問題…いろいろ思いましたね。
少し勇気を持って、ホワイトデーのチョコを買いました。Yさんにあげたいと思ったので。バレンタインには何ももらっていないので、その状況がなおさら勇気を必要にさせましたが。
当時、もとの校舎の廃止から移転まで、2つの校舎を移動して勤務する時期があって、たまたま私もYさんも移動を必要な配置になっていました。何とか、休み時間に捕まえて渡さなければ。必死でした(←当然キモイ)。
Yさん探して校舎内をウロウロ(←不審者)。見つけて声をかけても、チョコを渡すテリトリーにいなければ。周りに、生徒も講師も職員も多く、なかなか苦戦を強いられました。
しかし、Yさんが校舎を移動しようとする少し前。ついにキャッチ(←当然触ってません)。
私:「Yさん、ホワイトデーなんで、少し早いですけど。」
Y:「えっ!?私にですか!?!?」
なんて、天然な人なんだ。
私:「もちろんですよ(笑)冷蔵庫に入れて、冷やして食べてくださいね」
Y:「ありがとうございます」
受け取ってくれました。拒否されたら、さすがにビル(6階)から飛んだかもな。
実は、この会話が最後です。
塾から消えた私。どこの校舎に異動したのか、それともやめてしまったのかわからないYさん。
今思えば、恩着せがましくチョコにメアドぐらい入れとけばよかったなんて。少なくても、私の歯医者にはなってくれたかもしれません。
でもきっと、彼女が奥深くに持っていたものは、歯学部に裏打ちされた確かな知性ではなく、女性としての美貌ではなく、かかわる人を笑顔にすることができる心なのでしょう。
かつて、こんな言葉を聞きました。
顔のきれいな人は、3秒で飽きる(街ですれ違ったときに、振り返ってしまうレベル。)
笑顔のきれいな人は、3分で飽きる(例えば、受付の人のレベル。ちょっとした対応を気持ちよくこなすことができる。)
素顔のきれいな人は、3年で飽きる(例えば、恋人のレベル。しかしながら、何かが足りないと感じてしまう時が来るようである。)
心のきれいな人は、飽きない
一字一句まで正確な記憶とはいきませんが、かなり考えさせられる言葉でした。
私が思うに、素顔のレベルであっても、外見であるということなんです。化粧をしていなくても。何よりも、その人間の行動に深くかかわるコアとなる心は貴重なんです。
きっとYさんは、自分のいるべき場所で、楽しく生きているでしょう。そういう心の持ち主だと私は思いましたから。

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